
6歳より書を始め、小学生で8段を終え特待生に。大学卒業後、会社員を経て書家としての活動を始める。NHK 大河ドラマ『龍馬伝』の題字をはじめ、数々の映画やCM などに作品を提供。朝日新聞の連載『一語一会』も人気。書の文化活動『Love Letter Project』、復興支援『日本一心プロジェクト』を主宰する

金属を用いて書を立体的に表現したオブジェ。光と影が、文字の持つ表情を豊かに表現しています。日本語を読めない海外の人にも魅力が伝わる作品です

筆を手にした瞬間から、凛とした空気をまとう紫舟さん。音もなくなめらかに「龍」の文字が生まれていきます
現在の拠点は東京ですが、書家としてのスタートは奈良だったそうですね。
「はい。奈良は書の本場で、書の歴史と豊かな和の文化が残る町。今も墨の99%が作られ、上質な紙や筆も集まります。奈良で暮らしていた頃は、京都にもよく通っていました。さまざまな伝統工芸の名工に、作品を見せていただいたり、ものづくりを教えていただいたりしました」
どんなことを学ばれたのですか?
「華道や陶芸、蒔絵(まきえ)、螺鈿(らでん)、仏像彫刻……。墨や筆、和紙も作りました。
私は誰かに師事することがなかったので、作品の良しあしを自分で判断せねばならず、見極める〝目〟を養う必要がありました。〝手(=技法)〟は時間をかけて少しずつ磨き、〝目〟は、本物の和や伝統美に触れることで養う。完成した作品を見るだけでなく、自らものづくりを体験し、本物の美を深く知ることで、〝目〟を育てていました。今もそれを続けています」
名工のもとでの体験は、とても貴重ですね。紫舟さんの熱意が届いたからこそなのでしょう。そうして審美眼を磨かれたことが、豊かな表現力につながるのですね。創作時は、書を依頼された方の想いを想像するなど、準備に多くの時間を費やされるそうですね。
「相手の方に想いを寄せてお話を聞くとアイデアも浮かび、表現の幅が広がります。また、見てくださる方の気持ちを想像することも大切です。それは、ずっと続けている『Love Letter Project』( 書で手紙を綴るワークショップとその作品展示)などのイベントにもつながります」
ゲストの気持ちを想像してイベントを企画されるということですね。
「個展もイベントも最初はお客様が少なくて……。やはり時間を割いていただかないといけないので、多くの人に来てもらうのは簡単ではありません。だからこそ、来てくださる方に感動を届けたい。そのために何をするかを考えることから始まります」
お忙しい中、意欲的に活動されていますが、何がそのパワーの源になっているのですか?
「たくさんの方に喜びや感動を感じていただけることが、私の力になっています。 大変なことももちろんありますが、情熱を持って打ちこめることがあるのは、とても幸せなことです。今後は、ハリウッド映画のタイトルを書くという長年の夢を実現させたい。そして、書を通して日本の魅力を世界に向けて発信したい。誰も見たことのない形で、世界の人を驚かせ、感動を届けたいです」

表情豊かな書で私たちを魅了する紫舟さん。お話をうかがって、本物の美に触れ、審美眼を養うことの大切さを知りました。また、相手の気持ちに添う〝思いやり〟が感動を生むということを、すべてのものづくりの鍵として大切にしたいです。
2010 年より、真のエイジングケアを提案するプレステージスキンケアブランド「エピステーム」を担当。さまざまな分野の美に触れながら、同ブランドが目指す美の心得を追求




